長年燻っている想いからその時々の萌えまで。
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これ自体は元はとある企画に投稿しようとして時期を逃したもの…。
放置してたのですが勝雪自給自足のために続き書くよということで! 気持ちを3月に戻してお読み下さいませ。 なんか一部雪勝っぽいフシがありますけど勝雪。 勝呂と雪男だと、雪男の方が積極的な気がしません? …私だけか、そうか。
*合格祝い1*
(高校3年の3月設定です) まだ少し気温が低いが、春の日差しの心地良い午後。 正十字学園の奥まった場所にある静かなベンチに一人座って、兄お手製の弁当を膝に広げながらも、箸を動かすこともない雪男はうーんと唸りながら悩んでいた。 昨日、めでたく第一志望大学の合格を果たした恋人―――勝呂竜士への祝いの品が決まらないのだ。 推薦枠で秋口には希望大学への進学を決めていた雪男は、勝呂から合格祝いとして今日も身に付けているマフラーを貰っていた。 ランダムに様々な色の毛糸が入ったそれは基本は鮮やかなブルーグリーン。普段身に付けない派手な色に、贈ってくれた勝呂に手ずからマフラーを首に巻かれながらも「似合うかな?」と小さく告げて伺い見た先の顔は、これ以上ないほどに赤く染まっていて。視線を彷徨わせながらも「よお似合うてる」と言ってくれたその様が可愛らしかったので、任務の時以外は(だって万が一悪魔の体液ででも汚れたら大変だ)毎日使っている。 ざっくりと編まれているために、今日のような暖かい日にはゆるりと巻いて、しっかり防寒したい時には二重に巻いて、と秋冬から春までとても重宝した。 自分も何か長く使ってもらえるようなものをあげたくて、けれどもう季節が春に向かっている今、春夏に活躍するようなものがちっとも思い浮かばない。 思い浮かぶものといえば、学業用品や祓魔用品ばかり。それもいいのだが、彼のくれたこのマフラーを思うと、もっと何か温かい気持ちになれる物を贈りたかった。 自分が、離れていてもこのマフラーに彼を思い起こすように、身に付けてもらえるような何か。 アクセサリーは色々と身に付けている勝呂なので、ネックレス、ピアス、そうだバングルなんかもいいかもしれない。 装飾品に明るくないため雪男はどんなものがいいか分からないが、一緒に見に行くのも悪くないかも。できれば事前に準備して驚ろかせたいが、好みに合わなければ目も当てられないしそもそもサイズが分からない。 その点マフラーはフリーサイズで、くそ、なんて絶妙なチョイスをしたんだと、ちょっぴり負けず嫌いの血が騒ぐ。 「あ」 あれこれ考えて、ふ、と思い至ったものに軽く手を叩く。 例えば物じゃなくて、 「僕、とか」 どうだろう、ダメかな、と顎に手を当てて考える。 「…………」 考えてみて、いや深く考えなくてもあっという間に至った結論に、雪男は苦笑した。 「…そんな事言ったら、勝呂くん卒倒するな」 今時分の高校生には珍しく、既に付き合って半年になる二人は古き良き時代の清い交際を続けていた。 受験生だということもあったが、二人の逢瀬は寮暮らしの勝呂の夕飯前まで図書館で一緒に勉強をするとか、都合が合えば学園で昼食を一緒に食べるくらい。 そんなだから一時は、自分たちは本当に付き合っているのだろうかと思いもしたくらいだ。 けれど、疑問に思って見上げればいつだって、勝呂の瞳の中の慕情はやっぱり雪男に注がれていた。 目は口ほどに、と言うが、言葉で言われなくても感じるそれを思い出し、喜びと同時になんとも言えない感情も湧き上がる。 確かに好かれている。なのに。 一向に進展しないこの関係は、どうしたものか。 そもそもこの付き合いさえ、奥手な勝呂からの視線を二年以上も感じていた雪男が焦れて「どうなの?」と聞かなければ始まってさえいなかった関係だ。 見た目によらず意外にヘタレな勝呂は当初、目が合うたびに、う、と顔を赤らめていたほどで、未だにキスすらしていないことに、兄の処遇や自身の進路が落ち着いて最近では数の減っていた溜め息がつい漏れる。 あまりに熱い視線で見つめてくるものだからついこちらも意識してしまった、などという不本意な始まりであった雪男だが、好きだと自覚してしまったからには雪男にだって相手を自分のものにしたいという欲はあった。 自分のものに、と言っても、男女であれば最終的に結婚にでも落ち着くのだろうが、男同士の自分たちでは雪男にはまったく想像もつかないが。 まあとにかくだ。 そんな自分たちなので、ちょっと先に進みたいなー、なんて軽い雪男の提案にも、冗談でも誇張でもなく勝呂は卒倒しかねない。 うん、やっぱり却下。 矢張り本人に聞こうと決めて、雪男はようやく弁当に手をつける。 「あ、美味しい」 少々物足りないような、もう少しおろおろする勝呂を見ていたいような複雑な想いを、ちりめん入りの玉子焼きと一緒に飲み込んた。 PR |
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プロフィール
HN:
kao
性別:
非公開
職業:
秘書ときどき旅人
自己紹介:
PH・青祓・幽白・炎ミラ・その他ジャンルいろいろ。
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