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長年燻っている想いからその時々の萌えまで。
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また違うジャンルに手を出してしまった・・・
前々から読んでいたP/andoraHeartsは、アニメを見ても原作を読んでもブレシャロ派だったはずなのに。
14巻を読んだらもうレイブレしか目に入らなくなってしまいマシタw
なんだかまたもマイナーカプで、サイトが少ないとなるとつい書いてしまう・・・。
しかもアニメ放送前のCDはCVがとしくんって!
もうブレイクは右側決定!です!

あんまりズルズルと書き続けるのも、色々と手を出しすぎている手前はばかられるので。
とりあえずレイブレで長編を一つ完結させて終了の予定。は未定w
君をみつける10のお題(リライトさま)で一連のお話となります。
大筋は出来上がっています★
PHは、私にしてはえろめかも。。

あ。
↓は生クリームです、よ?(ほんとうに)
お話のイメージ画。
お話はつづきからどうぞ。

11052901.jpg


































1.『君を見つけてしまったあの日』

 

その人は突如私の世界に現れた。
光る白銀の髪は血にまみれ、顔も擦り傷だらけだったが、それでも真っ白な肌に、閉じられた瞼を縁取る長いまつげの影は、私の心を奪うには充分な美しさだった。
開かれた瞳の色は深紅で、その色は銀の睫毛によく似合った。
ぼんやりと遠くを見つめるばかりの瞳、その瞳が激情と共に私をを映した時の喜び。
無表情だった彼が、自分を責めるばかりだった彼が、やがて笑顔を見せるようになり。
絶望を飲み込んで、前を向いて。
そうして。
貼り付けたように笑うばかりになった彼。
それでもどこか悲しげなその背中を包みたいと思った。
今だってその笑みは、企みを覆い隠す仮面でしかない。


*****


穏やかな日差しの午後。
今日は急ぎの決済書類もないし、気候も良い。
定時に仕事を終えたらば。
彼にこの後の用事がないのならば。
連れ立ってどこかへ行こうと思っていたのだ。
なのに。
気付けば、晴れ渡る空に似つかわしくないいつもの言い合い。
だが、一つ言わせてもらえば、これは決して自分だけが悪いわけではないと思う。

「何度言えばわかるんだ」
「それはこっちの台詞なんですケド」

フォークもスプーンもあるというのに、ガトーショコラを素手で食べていたザクスは、指に残った生クリームをぺろりと舐めた。
次いで手に取ったふわふわのスフレにも、ぐしゃりと指を入れて口元に運ぶ。
膨らむスフレに合わせて、少し高さのあるカップからスフレを掬ったため、今度は指の股までを汚した彼は、つっと長い指を舌で拭う。
わざわざ日当たりの良い窓際まで運んだテーブルで、青空を背にしているというのに。
太陽の下で行うには、似合わない淫猥な光景。
つい目で追ってしまった舌の動きに、血液が頭に上る。
まるで煽っているとしか思えないのに。
さきほどの私の言葉はすっかりと流され、一人もくもくとケーキの山を崩していくザクスに、もう一度。

「好きだ」

もう何度目かわからない告白を口にすれば、
「あーはいはーい。それはドウモありがとウ♪」
これも一体何度目になるかわからない、おどけた返事。
そう、私ことレイム=ルネットは、もう何度も目の前の道化、もといザークシーズ=ブレイクに告白しては、すげなくかわされている。
しつこい男と笑うなら笑えば良い。
けれど。
「真面目に答えろ」
「だーかーらー。お断りだって言ってるデショ」
何度も何度も何度も、こちらは真面目に想いを告げているというのに。
理由を聞いても、改善点を聞いても、試しでもいいと打診をかけても。
答えは「えー…とにかく止めておいたほうがいいですヨー」の一点張りだ。
押しても押しても全く変わらない相手の態度に、最近は苛立ちを通り越して憎しみさえ募ってきた。
可愛さ余って憎さ百倍とはこのことか。
いや、少しばかり違うか。
残念ながら、可愛いなんて思ったことは一度もないのだから。
だいたいこいつときたら、昼夜を問わずテーブルの下から現れては人を驚かし、帰りは帰りで戸棚から消えるし、テーブルの上の皿はケーキまみれのまま放置するし、大量に菓子を持ち込む割には分けてくれるのはせいぜいが一つか二つだし…
と、思考がずれた。
ともかく。連敗記録は本日も更新の運びとなりそうだ。
人の気も知らないで、スフレには飽きたのか別のケーキに手を伸ばすザクスに、今日もまともな返事は諦める。
今度はフルーツタルトの上から、ジェリーでコーティングされた大きな苺をつまみあげる。
「っとと」
じゅっと音を立てて齧った苺。
瑞々しいそれから、指と口端を伝い落ちそうになった果汁を舌が追う。
…全く、からかわれているとしか思えない。
今度こそ目のやり場に困って、視線を逸らした。
「ろくに考えもせずに断られて納得できるか」
溜め息ほどの呟きが漏れる。
「考えてなくもないんですケドー」
返事を期待せずに呟いた言葉に、帰ってきた返事は苦笑を含んでいた。
「まったく。私なんかのどこがいいんですカ…」
そう言いつつも、飾り切りされたオレンジをつつく指。
次はどれを口にしようか、と熱心にさ迷う視線。
ケーキにさえも嫉妬してしまいそうだなんて、恥ずかしくて言えないけれど。

「一目惚れだ。悪いか」

ケーキへの嫉妬と同じくらいに恥ずかしい真実を言ってしまった。
それまでケーキに注がれていた視線が、ようやくこちらを向く。
「…最悪ですヨ」
「そうかもな」

だけどあの時、みつけたと思ったんだ。
見開かれた深紅の瞳の奥の悲しみを、癒したいと思ったんだ。
それは今も変わらない。
何一つ変わっていない。
そう、私の想いも…彼の悲しみも。
儚げで細い身体に似合わない激情も、自分より他人を優先させる不器用な優しさも。
後悔の念も。
どんなに擬態しても、彼の本質はかわらない。
笑顔の仮面に隠しているだけ。
その仮面を剥いでやりたいと思う。
そうして心を開かせたなら、彼の特別になれたなら。
抱きしめて、真綿で包んで、大事にするから。私だけを見ていればいい。

私の胸に巣くうのは、どちらかと言えば、凶暴な感情なのかもしれない。


うちのレイムさんはドSです。
そしてけっこうな面食い。

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プロフィール
HN:
kao
性別:
非公開
職業:
秘書ときどき旅人
自己紹介:
PH・青祓・幽白・炎ミラ・その他ジャンルいろいろ。
長年燻っている想いからその時々の、萌えの欠片を集めました。
更新は自由気まま。リンクは同人サイトに限りフリーです。貼るも剥がすもご自由に★
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