かけらばなしはエリブレを推奨いたします、こんばんは。
エリブレ絵を描こうと練習していたのですが、エリオットがあまりに難しすぎて。
しょうがないまずは文でも書いてみるか、と思ったのですが、それも玉砕した感が満載です。
ほんとはエリオット視点を書いていたのですが、エリーあんたなんでそんな恥ずかしいの///っていう出来になってやめました。
エリー、絵も文もどっちも難しい…!
今回は珍しく恋愛感情ありのお話でエリ→ブレなのでご注意を。
そして結局レイブレな落ちがある(笑)
『始まりはいつもささやかな想いに揺れて』
「勝負だ! ザークシーズ=ブレイク!」
ばたんと盛大な音を立てて開いた扉に、ただでさえ底辺に近かった私の気分はさらに急降下した。
力を行使し疲弊した身体は眠りに落ちることすら拒み、重たい身体をソファーに沈めてただ息を潜めていた私には目蓋を開けることすら億劫で、招かれざる訪問者が早々に立ち去ってくれることばかりを願った。
しかしノックをせずに入ってきたことといい、やはりお坊ちゃん育ちの彼―――エリオット=ナイトレイは、出ていくどころかズカズカと部屋に入ってくる。
「…本当に寝ている、のか?」
無遠慮に思えた行動にそれでも、眠っている私に配慮はしているのか小さく落とされた声。
近付いてきた気配はそろりと静かに空気を震わせる。
確かめるように触れられた頬に、落ちてきた髪がくすぐったい。息までもが頬に掛かる。そんなに近付かなくても少なくとも私が起き上がる気がないことはわかるだろうに。
離れない気配にいい加減に痺れを切らしてきたところで、こくり、唾を飲み込む音がした。
指が顎のラインをなぞって耳に触れた。
ふに。
生暖かいものが額に触れ、次いで、ふわと感じた揺れる空気。それが彼の吐息であることに思い至って、私の意識は完全に覚醒した。
額に掛かる髪をかき上げていた指が動いて唇に触れ、ゆっくりとなぞられる。
「唇には、勝負に勝ってから、だな」
立ち上がる気配と布擦れの音がして、肩から何かを着せかけられた。
入ってきた時とは逆に音を立てないように閉じられた扉に、そろりと目蓋を開ける。
同じ姿勢でいた所為で滞った血液のだるさに寝返りを打てば、肩に掛けられた温もりがずり落ちた。
素材は上質であるが全く飾り気のない黒のジャケット。好んでだろう、常にシンプルなジャケット着ている相手を思い起こす。
…なんだかすごい事を聞いてしまった気がする。
それがどんな種類のものであれ、他人から自分に向けられる感情というのは面倒には変わりない。
どれだけ叩きのめしても諦めない彼をどうやったら突き放せるのかと思案するも、思い返してもまず好かれるような要因が思い当たらないため、逆にどうしたら離れていくものかもわからない。
どうしようかと一瞬思って、いや私が負けるわけもないのだから考える必要は無いかと一人結論を出す。
物好きなものだと、考えることと同時に肩に掛かっていた上着をバサリと放り投げた。
*****(以下レイブレな蛇足)
コンコンコン
聞き慣れたノックにどうぞと返せば、いつも通り書類の束を持って入ってきた人物に自然と笑みが零れる。
「なんだ寝ていたのか」
「いえ、横になっていただけです」
ごろりと寝そべったまま返せば、伸びてきた手が寝乱れた髪を梳く。
布越しの掌はそれでも私よりも温度が高くて、そのあたたかさに先ほどは露ほども感じなかった眠気が立ち上った。
「…顔色が悪い。また無理をしたんじゃないだろうな」
「大丈夫ですよ。レイムさんは心配性だなァ」
頬を包んできた掌の温かさに、このままでは眠ってしまいかねないとソファーから起き上がると、空いたスペースに滑り込む彼。
少し上にある肩にことりと頭を預ければ、また髪を撫でられる。柔らかく触れてくるそれが気持ちよくて擦り寄った。
顔ごと動かして彼を見上げれば、穏やかな鳶色がじっとこちらを見ていた。
笑みを返せば顎を取られ、近づく瞳。
吐息が触れる距離にふと先ほどのことを思い出して、
「私が負けるのはアナタだけですよ」
「は?」
ぱちりと瞬きをする彼にこちらから顔を寄せて、なんだそれはと疑問を乗せる唇を塞いでやった。
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