ギルブレ投下！
…と見せかけて。
根底はレイブレのお話です。（でもレイムさんは名前しか出てこない…）
レイブレ←ギル、かな。
パラレル注意です！
ブレイクさんが人外な設定。
思いっきり自分設定ですので、原作設定派の方は読まないでくださいねー。
続きも考えてますが、続くかは未定。
これだけで読めるように書いています。
こちらはよろしければ、拍手でギルブレをリクエスト下さったお名前無しの方へ。
ギルは髪も服も描きにくかったので…もう絵は描かない予感、です。。
『この夜を止めて』※パラレル注意
※ブレイクさんが人外です※
「吸血鬼、というのはちょっと違うんですよ」
「血は吸わないのか？」
「ええ。そもそも人間の気なんて強いだけでまずいので私は吸いませんヨ」
そう言って笑う姿に、それでも魔性のものとはこうして人を魅了するのだと思った。
＊＊＊＊＊
白い指先が触れたそこから、みるみる花が枯れていく。
色を失う花と反比例してほんの少し朱の指す頬に、胸を撫で下ろした。
彼のために、と摘んできた野生の薔薇は見る影もないが、にこりと弱々しくも笑みを向けてくる姿にそんなことはどうでもよくなる。
元々これは彼の食事だ。
森羅万象の生気で生きているという彼は、強い花を好む。
本当は空気中にもそれはあるから、今までは食事などしなくてもよかったのだけど、と言って起き上がった彼を慌てて支えた。
触れた肩は真夏だというのにひやりとしている。
「ああ、君のいのちは美しいね」
肩にを支える手に、やはり冷たい指先が添えれられる。
「人間の生気なんてだいたいが濁っていてまずいけれど、君は綺麗だ」
「…なんだそれは」
人の基準では解らないことを彼は呟く。
人里は気が濁っていて住み難いのだと言った彼。
稀に居るらしいそれを好む彼の同属が、俗に恐れられる吸血鬼と呼ばれるものらしい。
しかし彼は本当につらそうだ。
ねだられて、見つけた野ばらの生息地へと、街の近くへと連れ出しただけで、くたりと崩れ落ちた細身。
慌てて彼の家に運び込み、もう二度と人里近くへは連れ出すまいと思った。
「もう平気、ですヨ」
大丈夫、と言いつつも、普段から白い顔がさらに色を無くしていて。
明らかに強がりだとわかるそれに、文句の一つも言いたくなった。
「あの程度で具合が悪くなるんなら、どうしてこんな人里近くで暮らしているんだ」
彼一人隠せるくらいの深い森はこの国にはいくらでもある。
それでもあえてここで暮らす彼に、遠くに行って欲しいわけではないのだが心配も募った。
「逃げているんデス」
支えていた腕をするりと抜け出す彼。
まだ少しふらつきながらもベッドから立ち上がり、窓辺へ立つとカーテンを開け放つ。
吸血鬼とは違う、と言った言葉通り、彼は昼の日差しもよく好んだ。
日を浴びてキラキラと光る白銀の髪。
「追われているのか？」
わけありだとは思っていたが、やはりそうかと思う。
「…まあそんなものです」
悲しそうに伏せられた睫毛は、けして恐怖はしていなかったが。
何かを思い起こして切ない笑みを浮かべる彼に、ふいに加護欲が疼いた。
「俺が、お前を狩ろうとする奴らから守ってやる」
考えるより先に口をついた言葉。
ぽかんとこちらを見る顔と同じくらいに、俺も戸惑った顔をしているかもしれない。
それでも、口を出た言葉はするりと胸に収まる。
突然現れたこの異端の男に、こんなにも心を割いている自分を自覚してしまった。
ぱちぱちと、彼の銀色の睫毛が瞬きを繰り返す。
次いでふわり、と大輪の花が咲いたような笑みが浮かぶ。
どくん。
心臓から血液が押し出された。
不覚にも綺麗だなんて思ってしまった俺の鼓動は高まる一方で、慌てて言葉を探す。
「お前は確かに異端だが、狩られるほど悪いものではない、と思う、から…」
弱くなる言葉尻に反比例して、彼からふっと笑い声が漏れた。
「ふふ。その台詞、レイムさんと一緒ですねェ」
虚空を見ながら紡がれた名。
大切なものを語るように落とされた声に、ざわり、胸が騒いだ。
「誰だ？」
思わず強く聞いてしまい、手で唇を覆う。
あ、いや、と歯切れ悪く呟くが、彼は大して気にした風でもなかった。
問いかけはうやむやに終わり、窓枠に座る彼が目を細める。
「ありがとう、ギルバート君。でも、守ってもらわなくても大丈夫ですヨ」
ちゃんと、見つかる前に逃げますから。
そう告げる彼との別れが、永遠に来なければいいと思った。
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