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長年燻っている想いからその時々の萌えまで。
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甘さ控えめの志摩雪。



  好きって言って



思い返してみれば。

―――せんせに好きて言われたことない、な。

なんて気付いた。
好きだと告げて、交際を承諾してもらい既に数ヶ月。
だけど、何でOKしてもらえたのかすら実は今だによくわからない。
告白した日はエイプリールフールでもなかったし、あの雪男が好きでもない、まして男との交際を承諾するはずもない。
ってことは、俺のことちゃんと好きなはずや。
うんうんそうや。
しかしそれならそれで、やっぱりちゃんと言葉で聞きたいなぁ。
でも、どうやったら言わせることができるのか。
相手はあの雪男だ。下手な小細工は通用しないだろう。
…等等。
数日悶々としてみたものの、うじうじするのも飽きてきた志摩は、直接雪男に言ってみた。
「なあ、せんせ」
「なんです」
「好きって言って」
「頭でも打ちましたか」
即答に、溜め息が出た。
わかっていた。
そう簡単にいかないだろうことは。
わかっていたのだが。
「俺はせんせのこと、こんなにアイシテルのに、なんってツレナイ」
「それでも僕がいいと言うんですから、志摩くんも酔狂ですね」
「…仕方ないでしょ、好きなんやから」
「そうですか」
「そうですか、ってせんせ…」
釈然としない志摩を余所に、雪男は涼しい顔で新しい参考書を手に取る。
そんな冷たいとも思える態度でも、横顔の美しさはこの上なかった。
―――やっぱり好きやな。
なんて、自覚するために仕掛けたわけではないのに。
「まあええです。せんせが言ってくれない分も、しばらくは俺がせんせに好きやて言うから」
雪男の肩が揺れた。
「…志摩くんの言葉はストレートすぎて心臓に悪いです」
「今まで散々遠回りしましたから。遠慮はせえへんから、覚悟して」
少しの決意を込めて言った志摩の台詞に、雪男が視線を上げる。
「お手柔らかに」
負ける気はないと語る瞳に、志摩は今更ながらに前途多難を思い知った。

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プロフィール
HN:
kao
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非公開
職業:
秘書ときどき旅人
自己紹介:
PH・青祓・幽白・炎ミラ・その他ジャンルいろいろ。
長年燻っている想いからその時々の、萌えの欠片を集めました。
更新は自由気まま。リンクは同人サイトに限りフリーです。貼るも剥がすもご自由に★
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